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芸州三則の「仕事」   〈弓道 ゆがけ制作〉

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2011年 02月 23日

帽子削り

昨日から、帽子削りを進めております。

現在は、機械を用いて、あらゆる形ができます故に、このようなものを手で削らずとも、大方を機械で削りだしてしまえば良いわけでございますが、拙宅には機械がないことと、機械を持ちうる場所がないがために、いきおいほとんどを手作業でせねばならぬのであります。

帽子削り_d0189236_19542949.jpg


以上が私が用いて居る用具であります。
唯一機械が入りますのは、この枝木に穴を穿つ工程でありまして、これだけは、電動ドリルの強力な物をもちいます。

その穴を空けたのが手前の枝木、穴の先と内部を削り込んだものがその向こう、外形を整えたのが一番向こうであります。

外形は鑿で削りだし、細かい部分は小刀で整えてまいります。
なるだけヤスリが要らぬように致します。


手作業の利点は、細部にわたる気遣いが及ぶことであります。
まず材料が悪ければ、削りだしの段階で不具合がございますが、機械では材料の素性は関係ございません。
あとは微妙なカーブをその都度考えながら出していくのであります。

機械で極限まで削り、仕上げれば事足りる物でありますが、現段階でそれをいたしますと、腕は伸びないものであり、機械を扱いきらぬことになりましょう。

手作業で、対話するが如くにしておりますと、それなりに気がつくことがあるものでございます。
しかし、穴掘りから削りだしまでに時間と体力が必要で、日に四つほどが限界であります。
日本の手仕事が廃れていくわけでございます。
一つに高額な投資をするよりも、廉価なものをいくつも重ねて、その中から自分に合うものを探す。
この方が効率的でありましょう。


しかし、丹精を込めるということも、結構なものでございます。
一針一針の妙味をお感じ下されば、用具にもまた異なる愛着が生まれましょう。

by mitsunori55555 | 2011-02-23 20:05 | 制作


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